昭和初期、「夏は外務省が日光に移る」と評されたほど奥日光が国際的な避暑地だった事をご存知ですか? 当時、中禅寺湖畔には40軒もの大使館別荘があり、各国大使が時期を合わせて避暑に訪れていました。都会でも外国人が珍しかった時代に、湖でボート遊びをする様々な国の大使と家族達……さぞ華やかだった事でしょうね!

その中のひとつ、イタリア大使館別荘が一般公開されています。昭和3年に建てられてから平成9年まで実際にサマーハウスとして使用されていましたが、老朽化したため栃木県が買い取り、2年かけて図面通りに復元されました。ガラス窓や、階段、床は建設時のものが再利用されています。

もともとイタリア大使館の別荘は国道沿いにあったのですが、中禅寺湖の先に日光白根山を臨む眺望がイタリア国境のコモ湖と似ていることから、電気も引かれていなかったこの奥まった場所に移転しました。輝く湖面と、青く盛り上がる山並み……現在でも広縁から湖への視界には電信柱などの人工物はひとつもなく、まさに昭和初期のままの眺めが守られています。
次回「その2」では内装と設計について、「その3」ではイタリア製の調度品についてご紹介します!